クロモリストへの道

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パンターニをこよなく愛するポタクライマーが綴るクロモリを中心としたロードバイク生活

コルム組立記録2 ヘッドまわりの組立て

Derosa Corum(デローザ コルム)の組立記録第2回目。前回は組立準備についてお話しました。

今回からいよいよ組立て作業に入ります。まず最初はヘッドまわりの組立てについてです。

*本サイトの組立ては素人によるものです。内容を参照して作業される場合は自己責任でお願いいたします。

フレームの下処理

組立てに入る前にフレームの下処理をしておきます。行ったのはガラスコーティングフレーム内部の防錆処理です。

ガラスコーティング

1号機となるヌーボクラシコはショップでガラスの鎧を施工してもらいました(当時税込10,800円)。今回は節約のため自分で施工します。ちょうどガラスの鎧のメンテナンス用であるガラスの盾が家にあったためそれを使うことにしました。

f:id:ma2sun:20200322232832j:image実際はとても小さなボトルです(内容量50ml)。

f:id:ma2sun:20200322232824j:image説明には直接フレームにスプレーするように書いてありましたが、粘度が低くすぐにこぼれ落ちてしまうため、布にスプレーしてフレームに塗り込んでいきます。無色透明のためあまり塗った感がないです。念のため、2日かけて二度塗りしました。

フレーム内部の防錆処理

これもヌーボクラシコのときはショップにお願いした作業ですが、自分で施工します。

f:id:ma2sun:20200322232807j:image使用した錆止め剤はNoxudol(ノックスドール)700。昔、四輪の古いイタ車をいじっていた時に使っていました。雪国のスウェーデン製でボルボに採用されている信頼の品質。車のドアやフレームの袋状になっている内側にスプレーするため長いノズルが付いており(水抜き穴などから挿入)、ロードバイクのフレーム処理にもピッタリです。

f:id:ma2sun:20200322232817j:imageこんな感じでノズルをヘッドチューブ/シートチューブから差し込みます。写真には写っていませんが、トップチューブとダウンチューブの入口(接合部分)には7~8㎜程度の穴しか開いておらず、ノズルを差し込むのがぎりぎりでした。フレーム奥までノズルを入れ、手前に引き抜きながら3秒ぐらいスプレーボタンをプッシュ。内部が見えないためまんべんなく塗布できたか分かりませんが、フレームを傾けると入口から溶剤がドボッとこぼれ落ちてくるので十分と判断しました。

1日置いて溶剤が乾いたら、いよいよ組立て作業に入ります。

 

フロントフォークのコラムカット

フロントフォークのコラムは前のオーナーによりカットされていますが、自分の好みのポジションからすると少し長いためカットすることにしました。カット位置を決めるため、取り付けるヘッドパーツ類を仮組みします。ということで、ここでそのパーツ類をご紹介したいと思います。

ステム

f:id:ma2sun:20200322233218j:imageDedaのNewton26 110㎜。2000年代初めにスレッドステムが流行り出した頃の定番モデル。アルミダイカスト製で重さ125gは今の水準から見ても十分軽いと思います。ボルトはチタン製。

f:id:ma2sun:20200322233214j:image実は長さ違いで3本持っています(汗)。手前から100㎜、110㎜、120㎜。100㎜は最初に乗ったロードバイクに付けていたもの。120㎜は例のアガリバイクとして保管中のDerosa Titanioに付けようと1年ほど前にWiggleで購入したものです(なんと新品がまだ買えました)。今回110㎜を注文しようとしたところ、さすがに販売終了。そこでeBay(セカイモン)で中古品を入手しました。


f:id:ma2sun:20200322233228j:imageオーパーサイズ(31.7㎜)ハンドル用のNewton31も家に眠っていました(写真奥)。今やハンドルはほとんど31.7㎜か35㎜になってしまいましたが、自分は細身の26㎜に拘りがあります(後ほどご紹介)。

ヘッドパーツ(ベアリング、ダストキャップ)

f:id:ma2sun:20200323192528j:imageイタリア テクノ社(?)の純正品。ロワーベアリング(写真左)とダストキャップ(写真右)の2点のみ。アッパーベアリングはダストキャップと一体になっています。 

コラムスペーサー

f:id:ma2sun:20200322233220j:imageGIZA PRODUCTSのアルミ製スペーサー。ステムの下に10㎜(写真左)、ステムの上に5㎜(写真右)をセットするつもりです。

トップキャップ 

f:id:ma2sun:20200414234445j:imageDedaのトップキャップ。デダチャイに付けていたものを使います。廃番品。

f:id:ma2sun:20200414234502j:image因みにこちらは後継モデル。カッコ悪いので使わず家に眠っていました。

さて、トップキャップを除く以上のパーツ類を順番に仮組みします。

f:id:ma2sun:20200322233734j:image仮組みした状態。上に飛び出た約20㎜をカットします。

f:id:ma2sun:20200322233729j:imageカット位置をマーキングする前に、ステムの上のスペーサーを5㎜(写真右)から3㎜(写真左)に入れ替えます。コラムの長さは、トップキャップのボルトを締め込む時の引きシロを確保するため少し短めがよいと言われているので。

f:id:ma2sun:20200322233738j:image入れ替えたスペーサーの上端に合わせてカット位置をマーキング。黒なので見にくい…
*オフレコですが、コラムカット後組んでみたところ結果的に引きシロが足りず、追加で2㎜カットする羽目になりました。3㎜のスペーサーも入れずステム上端でマーキングするのがちょうどよかったということになります。

マーキングが済んだら、仮組みしたパーツ類を取り外してコラムカットに移ります。

カーボンソー

コラムカットにはカーボン専用のソー(ノコギリ)が必要です。

f:id:ma2sun:20200322233747j:imagePark ToolのCSB-1。じつはコレ、持ち手が付いた本体SAW-1の”替刃”です。

本体はコチラ。ケチって購入しませんでした(汗)

f:id:ma2sun:20200323191157j:image金属用のソーと異なり、刃の先端には小さな粒つぶが散りばめられています。切断するというより、砥石でカーボンを削り取るイメージなのかもしれません。

ソーガイド

コラムを真っすぐ切断するためのソーガイドも用意します。

f:id:ma2sun:20200331200230j:imageTOPEAKのスレッドレスソーガイド。真ん中の穴にコラムを入れてクランプで固定する単純な構造ですが、コラムカットは失敗が許されないので購入マストと思います。同じようなものがGIZA PRODUCTSやバイクハンドからも発売されています。

f:id:ma2sun:20200323191153j:image本体と金属プレートの隙間にソーを入れて使用します。金属用とカーボン用の厚みの異なるソーに対応するよう、スペーサーで間隔を変更できるようになっています。購入時は金属ソーの設定になっており間隔は1㎜強。

f:id:ma2sun:20200331200334j:image試しにカーボンソーの厚みを測ってみると2㎜弱ありました。

f:id:ma2sun:20200323191148j:imageそこで金属プレートのネジを外しスペーサーを入れ替えます。ちゃんとカーボンソー用と書いてありますね。

f:id:ma2sun:20200323191200j:imageこれでカーボンソーが入るようになりました。逆に隙間が少し広過ぎるような気も…

f:id:ma2sun:20200323191556j:imageマーキング位置に合わせてコラムをクランプで固定し切断開始。本当は金属プレートのつば(下の部分)を万力で挟んで固定するのがよいのですが、我が家には万力がないため左手でしっかり押さえます。切断は先ほどイメージしたとおり砥石で削るような感覚。それほど力を入れなくても進んでいきます。

f:id:ma2sun:20200323191551j:imageしかし、ソーガイドの隙間が広いため、カーボンソーが左右に暴れます。これはソーが替刃単体で”たわみやすい”ことも影響しています(ケチらず本体を買うべきでした…)。ソーが暴れないよう人差し指で内側に押さえつけながら慎重に切り進めます。約10分で無事切断完了。  

f:id:ma2sun:20200323191746j:image切断したての断面。ソーが左右に動いたためかギザギザになっています。

f:id:ma2sun:20200323191800j:image紙やすり(320番手)を当てて切り口を整えます。意外にあっさりと削れてしまうため当て過ぎに注意。

f:id:ma2sun:20200323191751j:imageなめらかになりました。

f:id:ma2sun:20200323191755j:image切り口に瞬間接着剤を塗ります。カーボンは繊維状の素材で、そのままにしておくと糸のようにほつれてきてしまう(ホンマかいな?)のを防ぐためだとか。

f:id:ma2sun:20200323191805j:image瞬間接着剤が乾けば完了です! 

 

ヘッドパーツ類の装着

それでは、カットしたコラムに先ほど仮組みしたヘッドパーツ類を順番に取り付けていきます。

下玉押しの装着(済み)

f:id:ma2sun:20200323192126j:image新品のフレームを購入した場合、一番最初にコラムに装着するのは下玉押しというリングです。自分のは中古フレームのため既に装着済みで、割りが入ったタイプでした。

下玉押し圧入用工具

f:id:ma2sun:20200323192139j:image今回はスキップできたものの、下玉押しを装着するのはかなり大変なようです(特割りの入っていないタイプ)。クラウンレースインストーラーという専用工具があるようですが、手軽に代用できるものとして塩ビ管がよく紹介されています。TS継手ソケットという品名(型番:TS-S25)でホームセンターで購入可能です。値段100円ぐらい。

f:id:ma2sun:20200323192136j:imageフロントフォークはオーバーサイズでコラム径1-1/8インチ(28.6㎜)。

f:id:ma2sun:20200323192129j:image塩ビ管の内径は32㎜でした。少し大きいものの使えそうです。

f:id:ma2sun:20200323192132j:image実際に使う際はこんな風に3本ぐらい連結します。Titanioの組立てで実際に使ってみたいと思います。 

少し横道にそれましたがヘッドパーツ類の装着に戻ります。下玉押しの上に来るのはロワーベアリングです。ここで初めてグリースを使います。 

グリース

f:id:ma2sun:20200323192542j:imageFINISH LINEのテフロングリス。グリスガンをセットしています。

f:id:ma2sun:20200323192506j:imageグリスは何を使うか悩みました。最もユーザーが多いと思われるシマノのプレミアムグリス(通称:デュラグリス)、FINISH LINEのセラミックグリスも候補でしたが、最終的テフロングリスにしました。決め手は、
色が白でクリーンな感じがする
他よりべたつきが少ない(手で塗ることも多いので)
専用のグリスガンがある
性能の違いは分かりません…(汗)

f:id:ma2sun:20200323192509j:image下玉押しにグリスを塗ります。このグリスガンは糸のように少しずつ出せるので使いやすいです。

f:id:ma2sun:20200323192512j:imageロワーベアリングをセットします。

f:id:ma2sun:20200323192531j:imageロワーベアリングにグリスを塗ります。この後セットするヘッドチューブの内側に塗ってもよいですが、こちらの方が塗りやすいので。

f:id:ma2sun:20200323192534j:imageヘッドチューブにフォークを差し込みます。

f:id:ma2sun:20200323192538j:imageダストキャップ(アッパーベアリング一体型)にグリスを塗ります。これもヘッドチューブ側に塗ってもよいですね。

f:id:ma2sun:20200323192549j:imageダストキャップをセットします。

f:id:ma2sun:20200323192545j:imageコラムスペーサー10㎜をセットします。

f:id:ma2sun:20200323192518j:imageステムをセットします。

f:id:ma2sun:20200323192525j:imageコラムスペーサー5㎜をセットします。

f:id:ma2sun:20200323192516j:imageコラムの先端がスペーサーより4~5㎜ぐらい低くなっています。前に述べたとおり、トップキャップのボルトを締め込んだ時の引きシロです。

 

プレッシャープラグによる固定

いよいよ最終工程、プレッシャープラグによる固定作業に取り掛かります。

プレッシャープラグ

f:id:ma2sun:20200323204532j:imageヒラメのマルチプレッシャーアンカー。プレッシャープラグ(プレッシャーアンカー)とは、コラムの内側でトップキャップのボルトを受けるナットの役目を果たすもの。ボルトの締め付けトルクに耐えるため、テーパーリングというギザギザを広げてコラム内部にガッチリ留まります。このガッチリが重要なため、拘るユーザーも多いマニアックなパーツ。ヒラメのプラグはAmazonのユーザーレビューやSNS上で高評価です。

 

f:id:ma2sun:20200323204605j:image右はオリジナルのプレッシャープラグ。ツバ付きです。こちらの方がテーパーリングの面積が広くガッチリ固定できそうですが…(汗)

f:id:ma2sun:20200323204609j:imageヒラメのプラを分解した図。シンプルな部品構成です。

f:id:ma2sun:20200323204556j:image腐食防止のためパーツ全体に薄くグリスを塗ります。コラムと接触するテーパーリングには塗らないよう注意。 

トルクレンチ

この先はボルト締め作業になります。締付トルクの管理が大事なため、今回新たに購入したデジタルトルクレンチを使用します。 

f:id:ma2sun:20200323235602j:imageSK11のSDT3-060。本当はKTC製が欲しかったのですが、SK11は値段がKTCの半額程度であることと、カバーするトルク範囲が3~60Nmと広くロードバイクの組立てに必要なトルクをこれ1本で賄えることから決めました。Amazonでも高評価のようです。

SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060

SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m SDT3-060

  • 発売日: 2012/11/01
  • メディア: Tools & Hardware
 

デジタル式ということで、ブザーとLEDランプでトルクを知らせてくれます。
設定値の90%に到達すると、ブザー=断続音+LED=緑ランプが点滅
設定値に到達すると、ブザー=連続音+LED=赤ランプが点灯

なんて便利なんだろう…(涙)使用頻度が高い4,5,6㎜のヘキサゴンビットソケットも一緒に購入しました。こちらはKTC製。

六角レンチ 

f:id:ma2sun:20200323235609j:image仮締めの時は六角レンチを使用します。こちらは手持ちのドイツWera製。オジサン世代の自分にとっては六角レンチやドライバーといえばスイスのPBが定番でしたが、最近はWeraが人気の模様。ネジの頭と接触する先端部分が独自の形状をしており”ナメにくい”と評判です。

f:id:ma2sun:20200323204528j:imageそれでは装着開始。まず6㎜の六角レンチでボルトを回しテーパーリングを広げます。

f:id:ma2sun:20200323204629j:imageコラムの内径ぐらいに広がったら中に挿入します。緩すぎると中に落っこちてしまうので注意。この加減が難しい…
*自分は2回落としました。六角レンチを差したままコラムの中に入れ、先端が入ったらテーパーリングを少し広げてやるのがよいと思います。

f:id:ma2sun:20200323204601j:image次に、トップキャップのM6ボルトにセッティングナットをねじ込みます。凸側を上にしてトップキャップの裏側に当たるまで。このセッティングナットはプレッシャープラグの位置決めに使用するもので、後で取り外します。

f:id:ma2sun:20200323204618j:imageセッティングナットを装着したM6ボルトをプレッシャープラグ上部のネジ穴にねじ込みます。このネジ穴は、先ほどテーパーリングを広げるために回したボルトの真ん中(六角部分の内側)に切ってあります。

f:id:ma2sun:20200323204537j:imageセッティングナットが当たって回らなくなるまでねじ込んだら、トップキャップを指で押し込みます。

f:id:ma2sun:20200323204552j:image取説には、ここでトップキャップのM6ボルトを軽く締め…と書いてありますが、締め込まずに緩めトップキャップを取り外します。
*取説どおりにM6ボルトを締め込んだらテーパーリングのボルトとロック(結合)してしまい、緩めた際にトップキャップと一緒にプラグが外れてしまいました…

f:id:ma2sun:20200323204545j:imageトップキャップが外れました。

f:id:ma2sun:20200323204624j:imageいよいよトルクレンチの出番。6㎜のソケットをセットして本締めします。推奨トルクは130〜150kgf・㎝(約13〜15Nm)。

f:id:ma2sun:20200323204549j:image最後にトップキャップを装着しM6ボルトを締め付けます。これでヘッドパーツ全体にギュッと圧がかかります。

f:id:ma2sun:20200323204621j:image締め付けの推奨トルクは80kgf・㎝(約8Nm)。一旦この数値で締め付け後、フロントフォークを左右に動かしてスムーズかどうか確認します。動きが若干渋いため少し緩めました。

f:id:ma2sun:20200323204614j:imageステムのM6ボルトも忘れずに固定します。推奨トルクは5~8Nm。

f:id:ma2sun:20200323204542j:image完成しました!たったこれだけの部分なのに意外と大変でした(~_~;)

次回はハンドル、シートポスト&サドル、BB&クランクを取付けたいと思います。