Derosa Corum(デローザ コルム)の組立記録第3回目。前回はヘッドまわりの組立てについてお話しました。
今回は、ハンドル、シートポスト&サドル、BB&クランクの取り付けについてです。
*本サイトの組立ては素人によるものです。内容を参照して作業される場合は自己責任でお願いいたします。
ハンドルの取り付け
前回取り付けたステムにハンドルを装着します。ボルトで留めるだけの単純な作業です。
ハンドル
ステムはハンドルクランプ径26㎜のNewton26でした。現在売られているハンドルは31.7㎜か35㎜で26㎜のハンドルはほとんど見かけません。そこで、以前アルミのDerosaに装着していたものを再利用します。
Dedaの215アナトミック。幅は400㎜。アルミダイキャスト製で重量は名前のとおり215g。Newton26同様、2000年代初めの定番モデルでアームストロングが使用していたことで有名です。
早速取り付けですが、今回の作業からメンテナンススタンドを使用します。前回、フロントフォークを装着したことで使用が可能になりました。
使用イメージ。
前側はフロントフォークをクイック式のシャフトに固定。
後ろ側はBBハンガーを台座に載せてベルクロで固定。
レールの角度が調整できます(丸い穴の部分=全10箇所から選んでハンドルで固定)。
今回の作業ではハンドルとサドルの水平を見るため、トップチューブが水平に近くなる角度を選びました。先ほどの写真のとおり固定できる位置が決まっているため、完全には水平にならず…(残念)
さて、それでは取り付け開始。ステムクランプのM5ボルトを4㎜の六角レンチで外します。
ハンドルをセットし、六角レンチで仮止め。
ハンドルのセンターと水平角度を調整。センター出しはハンドルにガイドラインが引かれているので楽です。
後はトルクレンチで4箇所のボルトを締めるだけ。推奨トルクは5~8Nm。
装着完了。クランプ部分が太くならず、すっきりした感じが気に入っています。
シートポスト&サドルの取り付け
これもボルトで留めるだけの単純作業。まず、使用するパーツ類をご紹介します。
シートポスト
純正のpmp、チタン製。特殊な径で実測29.4㎜(ぐらい)。チタンのシートポストには憧れがありました。ヌーボクラシコのシートポストを選ぶ際、pmpかカンパコーラス用のチタン製ポストが欲しかったのですが高くて手が届かず…。コルムにはTitanioと同じように標準でチタン製ポストが付いていてスペシャル感を味わえます。
シートクランプ
カンパ製のシートクランプ。32㎜用。35㎜用もあるので間違えないよう注意。DE ROSAロゴが入った純正品が付いていましたが交換しました。こちらはカンパの盾のマークが入った旧モデルで、密かにコレクターズアイテムになっている?
因みに現行モデル(35㎜用)はこちら。ちょっと味気ないですね…
サドル
SELLE ITALIAのFLITE1990。ヌーボクラシコに付けているものと同じです。サドルは最初のバイクからずっとFLITE一筋。最初のはFLITE TTという軽量モデルでした(通常版230g TT185g)。
さて、後は装着するだけですが、ここで初めて焼付き防止剤を使用します。
焼付き防止剤
PARKTOOL ASC-1。金属同士の焼き付きを防止するためのものです。昔、旧車をイジッていた時、高熱でネジが焼き付いて外れないことがよくあり、ネジを取り付ける際は、カッパーコンパウンド(銅グリス)を塗っていました。このASC-1の色はカッパー(銅色)ではなくグレーですが、機能は同じと思います。ロードバイクは車のように高熱にさらされることはないものの、初代のアルミ製デローザは、シートポストがフレームと固着して外れなくなり、最後はシートポストを付けたまま自転車屋で処分しました。その経験もあり、今回ちゃんと焼付き防止剤を塗ることにしました。因みにカーボンフレームには普通にグリスを塗ります。
それでは装着、まずシートクランプをはめます。
次にシートポストのフレームと接する部分に焼付き防止剤を塗ります。
指で薄く塗り伸ばした後、フレームに挿入。
最後にシートクランプのM6ボルトを5㎜のトルクレンチで固定します。締付トルクは取説によるとmax10Nm。
シートポストの取付けは完了。サドルの取り付けに移ります。
まず、ヤグラの後ろのM6ボルトを5㎜の六角レンチで外します。
前のボルトはヤグラの固定とともに、サドルの水平を調整する役目を果たします。頭が六角ではなく丸くなっているため指で回して緩めます。因みにこのボルトはネジ山の上の一部が角になっていて、サドル装着後はそこに6㎜のスパナをかけて調整します。
上下のクランプに隙間ができたら、その隙間にシートレールを挟むようにサドルを装着します。知恵の輪みたいで少し頭を使うところ。半円の台座に左右のシートレールを載せる溝が切ってあるため、そこに合わせます。
サドルの水平を確認し、前側のボルトを回して角度を調整します。ボルトを締め込むと前に傾き、緩めると後ろに傾きます。最後に後ろ側のボルトを締め込むと少し角度が変わる(後ろに傾く)ため、それも考慮しながら、水平になる位置を見つけていきます。
位置が決まったら、トルクレンチで後ろのボルトを固定します。pmpの推奨トルクは不明ですが取り敢えず10Nmとしました。
こんな感じでしょうか?高さは後で調整することにします。
BB&クランクの取り付け>
次は、今回の作業で最も手間がかかるBB&クランクの取り付けです。まず、装着するパーツと使用する工具のご紹介から。
BBカップ
カンパのウルトラトルクBBカップ(ITA)。正式にはアウターボードカップと言うらしいです。型番はOC12-REI。BBの規格はたくさんあってややこしいですね。一般的にイタリアンバイクのフレームはITAですが、まれにJISということもあります。ヌーボクラシコの組み立ての際、デダチャイで使用したBBをITA用と思い込んで流用しようとしたところ、実際はJIS用で使えませんでした。デダチャイは中華フレームだったから?
ITA:ハンガーシェル幅70㎜ シャフト径24㎜ 左=正ネジ・右=正ネジ
JIS:ハンガーシェル幅68㎜ シャフト径24㎜ 左=正ネジ・右=逆ネジ
因みにITAでもカンパのスーパーレコード用は別の専用品(ネジが逆ネジ)になるため注意が必要です。
クランク
カンパのケンタウル10Sカーボン。ギヤは53×39、長さ170㎜。デダチャイで使用していたものです。今回使用するコンポは、クランク以外もカンパのケンタウル10Sカーボンでほぼまとめるつもりです。ヌーボクラシコは同じケンタウル10Sのアルミのセットです。
BBレンチ
シマノのTL-FC32。BBカップを回すための工具です。シマノのホローテックⅡ用ですが、カンパのBBカップにも使えます。本当はトルクレンチが使える下記のソケットタイプが欲しかったのですが高いため断念しました。
六角レンチとトルクレンチ(10㎜)
クランクシャフトの固定用ボルトを締めるのに使います。ネジ穴がクランクシャフトの奥まった位置にあるためレンチが届くかどうか確認が必要です。写真のWeraの六角レンチは片方が長いので届きますが、一般的なL字のレンチだと届かないかもしれません。実はデダチャイの時、装着していた旧型ケンタウルのコッタレス式クランクから新型ケンタウルのウルトラトルク式クランクに自分で交換したことがありました。当時は一般的なL字レンチしか持っておらずそれで適当に締めた結果、走行中に固定用ボルトが緩んできて危険な目に…。
トルクレンチ用のソケットはKTCのBT310です。長さがぎりぎりのため使用時はエクステンションバーを追加した方がよいかもしれませんが、ここは大きなトルクをかける場所のため安定性に不安が残ります。因みにこのような専用工具もあります。
ネジの緩み止め
LOCTITE222。超定番のネジ止め剤で番号の222は低強度タイプです。クランクの固定用ボルトに使用します(それ以外に今後使用する箇所は無いかも?)。
それでは取り付け作業に入ります。
BBカップの取り付け
まずは左側から。BBカップ本体にLEFT,LIGHTの文字が記載されているので確認します。なお、ネジ山には緩み止めとして乾燥した接着剤のようなもの(写真の黄色のもの)が塗られています。気持ち悪いので取り除こうとしたのですが、ブラシで擦ってもなかなか剥がれないため、そのまま使用することにしました(汗)
ネジ山に焼付き防止剤を塗ります。メンテナンスのガイドブックによっては、焼付き防止剤でなくグリスやネジ止め剤を指定しているものもありますが、コルムは金属フレームのため焼付き防止剤を選択しました。
BBハンガーのネジ穴にBBカップを取り付けます。普通のネジと同じ正ネジ(時計回りで締まる)です。因みに今回、ネジ穴のタッピング(ネジ山さらい)とフェイシング(面取り)は行っていません。部品が取り付けられたことのある中古フレームであり、あらかじめBBカップを挿入してみたところ問題なさそうだったため省略しました。
BBレンチでカップを締め込みます。ガイドブックによっては、ネジ止め剤を塗って手で締められるだけ、としているものもありますが、取り敢えずレンチで力一杯締めました。トルクレンチを使用する場合の指定トルクは35Nmです。
右側も同じ手順で取り付けます。
*シマノのBBレンチで力一杯締めた結果、カップがこのように傷ついてしまいました。さらに、締め込む最中、BBレンチがカップの内側にズレ落ちて、フレームにピンホールを作ってしまいました(泣)。このBBレンチはズレやすいので注意が必要です。やはりソケットタイプのカンパ専用品を使うべきでした…
クランクの取り付け
まずは右側から。BBカップに付属してきた脱落防止用のスプリングを仮留めします。このスプリングはクランクを取り付けてからセットするものですが、ここで仮留めしておくと後で作業しやすいためです。カップにスプリングのピンを留める小さな穴が2箇所開いているため、片側のみひっかけておきます。
BBカップの内側にグリスを塗ります。
クランクシャフトのベアリング側にもグリスを塗ります。
クランクシャフトをBBに挿入します。
仮留めした脱落防止用スプリングのピンをもう片方の穴に引っ掛けます。
次は左側の作業。左側のBBカップにはこのようなワッシャーを挿入します。
右側と同じようにBBカップの内側にグリスを塗ります。
クランクシャフトのベアリング側にもグリスを塗ります。
クランクシャフトをBBに挿入します。しっかり押し込んで、左右のクランクシャフトを篏合(かんごう)させます。
左右のクランクシャフトがまっすぐ一直線になっているか(ズレて篏合していないか)確認します。
クランクの固定用ボルトにロックタイト222を塗ります。
固定用ボルトを10㎜の六角レンチで右側クランクに挿入。ネジ穴はかなり奥まったところにあります。
ネジ穴に到達したら仮締め。正ネジ(時計回りで締まる)です。
トルクレンチで本締め。指定トルクは42〜60Nm。ロードバイクの組立において最大クラスのトルク値です。使用したトルクレンチ(SK11 SDT3-060)は最大60Nmまで対応しているものの、3/8ソケット用のコンパクトなサイズで短い持ち手です。これだけの大トルクをかけるのはかなり大変。ソケットの長さがギリギリのため、チェーンリングに手が当たらないよう注意しながら力いっぱいトルクレンチを回します。
*万一、ソケットが外れた場合はチェーンリングで大怪我する恐れがあるため、持ち手が長いトルクレンチを使用するか、専用の長いソケットレンチを使用した方がよいかもしれません。
最後にクランクを手で回してみて異常がないか確認。
*回転させると「キィ、キィ」という音が出たため、クランクを外して組み直すことに。BBカップの内側(ベアリングが当たる部分)にグリスを追加したら音が止まりました。
完成。
今回の作業は特に難しいところは無かったですが、クランクまわりの組み立ては大きいトルクをかけるため、ケチらずちゃんとした工具を使うべきと思いました。
さあ、次回はブレーキ、エルゴレバー、FD、RDの取り付けです(^^)