Derosa Corum(デローザ コルム)の組立記録第5回目。前回はエルゴパワー、ブレーキ、FD、RDの取り付けについてお話しました。
今回は、ブレーキケーブルの取り付けについてです。
*本サイトの組立ては素人によるものです。内容を参照して作業される場合は自己責任でお願いいたします。
はじめに…
超久しぶりに更新しました。コロナ渦、色々ありロードバイクにはほとんど乗っておらず、コルムも未完成のまま屋根裏で埃を被っていました。やっと落ち着いてまた乗りたくなってきたので組立てを再開しようと思います(^^)
前回までで主要なコンポーネントの取り付けは完了しました。あとはケーブルを取り付けるだけです。とは言えケーブル取り付けは調整込みの作業。これまでのロードバイク人生、メカ調整はすべてショップにお任せしてきた自分にとって最大の難関です。しかし、真のクロモリストになるためには避けて通れない道(?)
いつものように作業前にマニュアル本やネットを眺めても、ブレーキ、ディレーラー調整の要領はイマイチ良く分かりません。まあ、やってみて体で覚えるしかないのでしょう。そこでケーブルの取り付けは、ブレーキケーブルの取り付け、ディレーラーケーブルの取り付け、ディレーラー(変速)の調整に分けてじっくり取り組みたいと思います。変速調整は手こずりそうなので単独で行う予定。今回はまずブレーキケーブルの取り付けです。
ケーブル・小物類の準備
ケーブルセット
まず準備したのがこちら。カンパ純正のエルゴパワーケーブルセット(型番:CG-ER600)。だいぶ昔にWiggleで3,000円ぐらいで買ったものですが、国内で正規品を購入すると8,000円ぐらいします。
ブレーキとディレーラーのケーブルがセットになっています。内容物は以下のとおり。
1.ブレーキ用アウターケーブル ×2本
2.ブレーキ用インナーケーブル ×2本
3.ディレーラー用アウターケーブル ×3本
4.ディレーラー用インナーケーブル ×2本
5.アウターキャップ(ディレーラー用) ×4個
アウターケーブルは、太い方(上)がブレーキ用、細い方(下)がディレーラー用です。
取説によると、ブレーキ用(B)は直径4.9㎜、ディレーラー用(A)は直径4.1㎜。
実際に測ってみると、ブレーキ用は約5㎜。
ディレーラー用は約4㎜でした。
当然、インナーケーブルも太い方(左)がブレーキ用、細い方(右)がディレーラー用ですが、タイコの大きさと形でも見分けがつきます。大きくて棚板のダボのような形をしているのがブレーキ用。
アウターキャップは5個付属しており、内1個にはゴムのダストカバーのようなものが装着されています。
内径を測ってみると約4㎜、ということはディレーラー用ですね。
ゴムのダストカバーが装着されたものも内径約4㎜。
因みにこのダストカバーが装着されたものは、上記写真の場所(エンドブラケット近くのケーブル受け)に使うみたいです。カバーがカッコ悪い…
以上がセット内容ですが、ブレーキ用のアウターキャップとインナーケーブルの端に被せるエンドキャップが何故か付属されていませんでした。別に調達する必要があります。
アウターキャップ
ケーブルセットに付属されていなかったブレーキ用のアウターキャップは2種類買ってみました。左がアリゲーターで右がノグチのもの。アリゲーターは真鍮製、ノグチはアルミ製で質感(光り方)が若干違います。
どちらにするか考え、ケーブルセットに付属していたディレーラー用アウターキャップ(左)と同じ長さ(12㎜)・同じ質感のアリゲーターを使用することにしました。
内径を測ってみると約5㎜。間違いなくブレーキ用です。
エンドキャップ
エンドキャップはノグチ製。インナーケーブルもブレーキ用とディレーラー用で直径が僅かに違いますが、もちろん共用です。
工具・ケミカルの準備
ワイヤーカッター
HOZANのN-16。Amazonのレビューを見て決めました。当初、ケーブルの切断は電気工事用のペンチでいいかな?と思っていましたが、特にアウターケーブルは切れ味が悪いと切り口を整えるのに手間がかかってしまうようなので、専用のワイヤーカッターを調達しました。
やすり
アウターケーブルの切り口を整えるために使用します。家にあった棒やすりを使います。
千枚通し
同じくアウターケーブルの切り口を整えるためのもの。家に千枚通しは無かったのでAmazonで適当なものを調達しました。つまようじでも何とかなる?(笑)
ケーブルグリス
シマノのケーブルグリス。もともとワイヤー自体にコーティング加工が施されているようですのでグリスを塗るか迷いましたが使ってみることにしました。以前、ヌーボの組立をショップにお願いした際、完成したエルゴを操作してシフトの軽さに驚いた記憶があります。そのショップはケーブルのファインチューンをメニュー化するほど拘りがあり、どのような処理をしたかはマル秘で教えてもらえませんでしたが、何らかのケミカルを使っていることは間違いありません。ケミカルで操作感が変わるのなら試してみたいと思っていました。
ケミカルと言っても、マニュアル本やネットを見ると使用しているものは様々で、普通のグリスをワイヤーに塗っているのもあれば、スプレー式の潤滑油をアウターケーブルに注入しているのもあります。フッ素オイルというものを使用しているケースもあり何がベストか良く分からず…。そこで、取り敢えずメジャーなこのシマノの専用グリスを使用してみることにしました。50gで1,500円もするので少し躊躇しましたが…(汗)
FINISH LINEのテフロングリスと同じ白色。粘度が低くクリームみたいです。
作業の下準備
細かい点ですが、ケーブルの切断作業に入る前に以下の下準備を行いましたので、自分用の備忘録として記しておきます。
車体の固定
これまで使用していた三脚タイプのメンテナンススタンドから普通の折畳式スタンドに交換し、前後のホイールを装着します。ブレーキ、シフトの調整は実際に前後のホイールを回転させながら行うため。ホイールは普段履き用のシャマルミレにしました。
しかし、シャマルミレのクイックが大き過ぎてスタンドのシャフト受けにハマらず…。今ドキのホイールのクイックは大体このサイズですね。そこで、専用のスタンドを入手しました。
ミノウラのDS-30CFB。カンパ、フルクラム、ポントレガーのワイドタイプクイック用。
専用と言いつつ、すんなりとは収まらず若干広がっています…
フロントタイヤのバルブとダウンチューブを太めの輪ゴムで固定。ケーブルを張る前はフロントタイヤ(フォーク)が簡単にくるっと回ってしまうためです。
ブレーキシューの位置調整
シュー交換の時はタイヤが付いていなかったため適当に留めていたブレーキシューの位置を調整します。左右のシューを押し当てながらリムのパッド面にシューが収まるよう位置合わせ。リムの端から大体1㎜ぐらい下が適正位置でしょうか。細かい人はトーイン・トーアウトも調整するのでしょうがそれはまだ今度(汗)。位置が決まったら5㎜の六角レンチで仮締め。
反対側のシューも位置合わせして仮締め。
トルクレンチで本締め。推奨トルクは8Nm。トルクがかかるとシューが一緒に回ってしまうためシューホルダーを手で押さえながら回します。
今度はリヤ側。左シューの位置調整。
右シューの位置調整。
トルクレンチで本締め。
キャリパーのセンターバランス調整、本締め
前回、キャリパーをフレームに取り付ける際はタイヤが付いておらず適当に留めていたため、センターバランスを見ながら本締めします。
ブレーキキャリパーに付いているセンターバランス調整用ネジを確認。右回しでキャリパーが手前に移動、左回しで向こう側に移動しますが、実際のセンターバランス調整はこのネジは使わずセンターボルトを回して行うためここではネジが出過ぎていないかチェックする程度です。もし出過ぎていたら軽く締め込んでおきます。このネジはとても小さく2㎜の六角レンチを使用。
リヤ側のネジも同様に確認。ネジの位置はフロントと反対です。
次に、センターボルトの枕頭式ナットを5㎜の六角レンチで一旦緩め、左右のシューを指でリムに押し当てたまま締め込みます。
そしてトルクレンチで本締め。推奨トルクは10Nm。
指を離してシューを戻すと、左右のバランスが均等になります。最終的なセンターバランスの調整はケーブルを張った後に行います。
リヤ側も同様に作業します。シューをリムに押し当てて六角レンチで仮締め。
トルクレンチで本締め。
リヤも完了。
アジャスターの締め込み
前後キャリパーのアウター受けアジャストボルト(ケーブルテンション調整ネジ)を締め込んでおきます。後で締め忘れないように。
ケーブル張り
フロントブレーキのケーブル張り
それではいよいよケーブル張りです。まずフロントブレーキから。ケーブルセットから太い方のアウター、インナーケーブルを取り出します。左の短い方がフロント用。
自分のブレーキ配置は一般的な右手=フロント、左手=リヤです。エルゴパワーのカバーをめくると、ケーブルの差込口が見えます。内側がブレーキ用、外側がシフト用。
アウターケーブルの先端を内側の差込口に入れます。
そのあとのケーブルはハンドルバーの窪んだ部分に這わせます。Deda215のハンドルバーにはライダーから見て奥側と手前側にそれぞれブレーキとシフトのケーブルを這わせることができるように窪みが付いています。
その状態でビニールテープで仮留め。
アウターケーブルをブレーキキャリパーのケーブルテンション調整ネジに合わせて切断する長さを決めます。長さの目安は、ヘッドチューブにケーブルが僅かに重なる程度。
長さが決まったら、マジックでマーキングします。黒マジックでは見にくいですが…。
仮留めしていたアウターケーブルを取り外し、マークに合わせてワイヤーカッターで切断。初めての作業なので緊張します。パチンと歯切れ良く切れるのをイメージしていましたが、予想に反しムニュッとした感触。
切断面はこんな感じ。アウターチューブの内側にスチールワイヤー、その内側にポリエチレンライナーという構造ですが、見事に潰れています。
横から見ると少し斜めにカットしてしまった模様…。
ヤスリを当てて切断面を整えます。大きく削る場合は写真とは反対にヤスリの方を固定してケーブルを動かした方がやり易いかも。かなり根気が要る作業。
千枚通しで真ん中のライナー部分を整えます。
補正後の切断面。あまり変わってないですが、大雑把な性格なのでこの辺でよしとします(汗)
再びアウターケーブルを取り付けて、先端をブレーキキャリパーのケーブルテンション調整ネジにセット。長さは問題無さそうです。
この後はインナーケーブルを通します。ブレーキレバーを握りケーブルを通す穴を確認。表と裏があり、段差が付いた大きい穴が表(おもて)面。ここにケーブルのタイコを引っ掛けます。
こちらは小さい穴の裏面。間違えないように注意。
表(おもて)面の穴からインナーケーブルを挿入します。
ハンドル内側のアウターケーブル差込口からインナーケーブルが出てきます。
そのままインナーケーブルを引っ張ると、
穴の段差にタイコが引っ掛かります。
アウターケーブルに通す前に、インナーケーブルにケーブルグリスを塗ります。ブレーキケーブルにはグリスを塗ってもあまり変わらないと思いますが、折角買ったので…(汗)
グリスを薄く塗り伸ばします。
アウターケーブルにインナーケーブルを通します。
そのままどんどん通して行き、
アウターケーブルをケーブル差込口にセット。
インナーケーブルの先端がケーブルテンション調整ネジの下から出てきます。
ブレーキキャリパーのケーブルリテーナーボルトを5㎜の六角レンチで緩めます。
緩めた隙間にインナーケーブルの先端を通します。固定金具のケーブルが当たる部分に溝が掘ってあるのでそこに合わせます。
ブレーキシューをリムに近づけた状態でケーブルリテーナーボルトを六角レンチで仮締めします。仮締めですがこのあと初期伸び取りをするため少々きつめに。シューとリムのクリアランスは取り敢えず1㎜ぐらいにしました。
ブレーキレバーを握って引きしろを確認し、好みの可動範囲になるようにシューとリムのクリアランスを調整。完了したら、ブレーキレバーを強めに握ってケーブルの初期伸びを取ります。新品のケーブルはかなり伸びるようですが、実際に伸びたかどうかはよく分からず。数回握って取り敢えず完了とします。
ブレーキリテーナーボルトをトルクレンチで本締め。推奨トルクは5Nm。
ケーブルを4㎝程度残しワイヤーカッターで切断。
ケーブルの先端にエンドキャップを被せます。
エンドキャップのカシメには家にあった電工ペンチを使用することにしました。
電工ペンチの先端がカシメにちょうど良い幅です。
抜け落ちないよう2箇所カシメました。
最後に左右のシューのセンターバランスを確認。ワイヤーを通してテンションがかかったため、バランスが僅かに崩れていました。これはキャリパーとフロントフォークの間にあるカプセル形のナットを13㎜のスパナで回して微調整します。
※このナットは幅が狭いので必ず薄口スパナやハブスパナを使います。当初、普通のモンキーレンチで回したらフロントフォークに傷が付いてしまいました(泣)。
これでフロントブレーキのケーブル張りは完了です。
リヤブレーキのケーブル張り
次はリヤブレーキ。リヤのアウターケーブルはトップチューブの前方と後方があります。しかし、ケーブルセットに入っているアウターケーブルは長い一本モノ。2分割する必要があるため、まずはその長さ決めから。ケーブル先端をブラケット内側の差し込みます。
ハンドルの窪みに這わせたら、ビニールテーブルで2箇所仮留め。
ハンドルを目一杯右に切った状態でトップチューブ前方のアウターケーブル受けに当てて、引っ張られない長さにします。
ハンドルを戻して前から見ると、ヘッドチューブに軽くかかる位。
長さが決まったらマジックで印を付けます。
ワイヤーカッターで切断。
やはり断面が潰れているので…
ヤスリで整えます。
千枚通しで仕上げ。
ささくれ部分がきれいに消えず多少残っていますががよしとします。どうせアウターキャップを被せるし…
切断したケーブルを仮にセットしてみて長さを確認。こんなもんでしょうか。
続いてトップチューブ後側の長さ決め。ケーブルをシートクランプ付近でカーブさせてシートステーと並行になる長さに調整します。リヤブレーキのケーブルテンション調整ネジに合わせたらマジックで印付け。
ワイヤーカッターで切断。
ヤスリで断面を整えて…
千枚通しで仕上げ。
やはり、ささくれ部分が消えていませんが気にしないことにします。この辺をきれいに処理するかしないかは性格が出ますね(汗)
切断したケーブルを仮にセットして長さを確認。少し長い気もしますがよしとしましょう。
続いてインナーケーブルを通します。ブレーキレバーを握りケーブルを通す穴を確認。ケーブルのタイコを引っ掛ける溝が付いた方を表側にします。
こちらは裏側。
インナーケーブルを穴に通します。
そのまま、ずずずっと差し込んでいき…
タイコを穴の溝に引っ掛けます。
こちらはケーブルの出口側。
ケーブルグリスを塗ってから、
アウターケーブルに通します。
アウターケーブルの先端をブラケットの差込口にセット。
もう一方の先端はアウターキャップを被せてから
トップチューブのアウターケーブル受けにセット。
続いて後方のアウターケーブルに通します。まずインナーケーブルにケーブルグリスを塗って、
アウターケーブルの先端にアウターキャップを被せてからインナーケーブルを通します。
トップチューブ後方のアウターケーブル受けにセット。
インナーケーブルの先端をケーブルテンション調整ネジの穴の中に通します。アウターケーブルはそのまま調整ネジの中にセット。アウターキャップは不要です。
インナーケーブルの先端を引っ張り、ケーブルリテーナーボルトの固定プレートの隙間に通します(ボルトは予め5㎜の六角レンチで緩めておきます)。
拡大するとこんな感じ。
ブレーキシューとタイヤのクリアランスを好みの間隔(1㎜ぐらい)に調整したら5㎜の六角レンチでケーブルリテーナーボルトを強めに仮締めします。
ブレーキレバーを強く握って初期伸びを取ります。何度か繰り返した結果、握りシロが大きくなったら上に戻ってクリアランスを再調整します。
クリアランスが決まったらケーブルリテーナーボルトをトルクレンチで本締め。推奨トルクは5Nm。
余ったインナーケーブルをワイヤーカッターで切断。
エンドキャップを被せて、
電工ペンチでカシメます。
最後にセンターボルトを回してセンターバランスを調整。今まで気付きませんでしたがリヤのセンターボルトはフロントのカプセル形とは異なる普通の15㎜ナットが付いていました(ヤフオク落札品のため前のオーナーが変えた模様)。フロント同様幅が狭いため薄口スパナを使いたかったのですがスパナのセットに15㎜が無かったためモンキーで代用(汗)。
完成しました。リヤの取り回しはこんな感じ。
全体の取り回しはこんな感じです。
ブレーキケーブルの取り付けが無事完了しました。ケーブルはまだ初期伸びが出ると思いますので暫く乗ったら調整するつもりです。
次回はいよいよ最後のパーツ、ディレーラーケーブルの取り付けです(^^)